NVDAアドオンについて 野々垣美名子 (終盤部に追記あり) こんにちは、NVDA日本語チームの野々垣美名子と申します。よろしくお願いいたします。 NVDAワールドへの会場での参加は今日が初めてです。 2013年の横浜と、2014年の東京は、ネット配信を一部拝聴して参加しました。 私は2014年の9月からNVDA日本語チームに参加しています。2015年の3月から翻訳のお手伝いを始めました。 翻訳を始めたのが、NVDAアドオンの紹介ウェブサイトからでしたので、実際にアドオンを試したりしました。その経験をふまえて、年季は浅いですが、今日は、便利なNVDAアドオンについてご紹介したいと思います。 アドオンは、英語のadd on、付け加えるという意味で、NVDA本体にはない機能を付け加えるためのソフトウェアです。例えば、NVDA本体のみで何らかのソフトを使おうとすると、キー操作が不十分な場合に、そのソフト専用のアドオンソフトを使うとキー操作が出来るようになる場合があります。また、本体では複雑なキー操作を簡単なキー操作に変えることが出来たりもします。これが出来たらちょっとうれしいような機能を付け加えられるのがアドオンです。 NVDAのアドオンは、本家NVDAのアドオン紹介ウェブサイトにあります。このページへのリンクが、NVDA日本語版のホームページにありますので、まずこのページからご紹介を始めたいと思います。 それでは、パソコンを操作します。プロジェクタには画面が映っていますが、音を頼りに操作をするため、手元のパソコンの画面は輝度を落としてあります。 Windows+Tでタスクバーに行き、Firefoxでエンターします。F6キーを押して、アドレスを直接入力します。nvda.jpです。 NVDA日本語版のページに着きました。kボタンでリンクを辿って行きます。途中、ダウンロードのリンクがあり、NVDA日本語版の本体をダウンロード出来ます。今日は通り越して、本家コミュニティによるアドオン紹介リンクまで進みます。ここでエンターを押します。(本番は進むリンクを一つ間違えたので、alt+左矢印で戻ってやりなおししました) 本家コミュニティによるアドオン紹介ページです。このページは40か国語で共通になっていて、日本語チームが日本語に翻訳しています。見出しジャンプhでページのタイトルに進みます。下矢印を押すとアドオンについての解説を読むことが出来ます。もう一度hを押すと、アドオンの名前に進みます。一つ目はNVDA remote supportです。二つ目はチームトーク、三つめはイージーテーブルナビゲーターという具合です。現在このページには23種類のアドオンがあります。実はこのページは安定版アドオンを集めたページで、開発版アドオンのページもあり、そちらには25種類のアドオンがあります。重複もありますので、実質は、全部で25種類ではないかと思います。 今日は実際に一つアドオンをインストールしてみます。クリップコンテンツデザイナーをインストールすることにします。見出しhでこのページをたどって行きます。クリップコンテンツデザイナーというリンクがありましたので、エンターを押します。 クリップコンテンツデザイナーのページに着きました。このページも見出しhで見て行きます。一つ目のhで、クリップコンテンツデザイナーとタイトルが読まれます。二つ目のhで、キー操作と読まれます。ダウンロードリンクは、一つ目のhと二つ目のhの間にありますので、一度一つ目のhに戻り、下矢印でたどって行きます。作者が読まれ、次にダウンロード、次に安定版リンク、と読まれます。これが、ダイレクトダウンロードリンクです。もう少し下矢印で進んでいくと、開発版リンクがあります。ダウンロードするのは、安定版が良いと思いますので、安定版リンクでエンターを押します。このファイルをどのように処理しますかというダイアログが出ます。タブキーで確認して行くと、プログラムでファイルを開くのラジオボタンにチェックがあり、開くプログラムがNVDA既定となっていますので、タブキーでOKボタンまで行って、エンターを押します。 アラートが出ます。はい、いいえしか読み上げられませんが、実は、信頼できる開発元からのアドオンのみインストールして下さいというメッセージが出ています。はいを押します。 一度押しましたがうまく押されなかったのでもう一度はいを押すと、ピッと音がして、アドオンがインストールされました。このあたりの音については、環境によって異なるかもしれません。NVDAを再起動しますかと聞かれますので、はいを押します。これで、クリップコンテンツデザイナーアドオンが有効になった状態でNVDAが起動します。 クリップコンテンツデザイナーは、どういうアドオンかと言うと、通常のコピーペーストは、まずCtrl+Cでコピーして、エディターでCtrl+Vでペーストして、もう一度他の物をコピーすると、その前にコピーした内容は消えてしまいますが、クリップコンテンツデザイナーでは、違う内容を続けてコピーすることが出来ます。内容は一番目のものと二番目のものの間に後から分けられるような何かを挟んでクリップボードにコピーされます。 それでは、先ほどのクリップコンテンツデザイナーの紹介ページで、このアドオンを試してみます。キー操作の説明がありますので、キーの部分をコピーしてみます。 まず、コピーしたい範囲の先頭まで行きます。hでキー操作の見出しに飛んだ後、下矢印キーで一行降りて、右矢印キーで一文字ずつ進んでいきます。Nと聞こえたところで、NVDA+WINDOWS+F9キーを押します。このキー操作は、コピーする範囲の先頭を決める操作です。先頭を選択と読まれます。右矢印キーを押して行って、Cと聞こえたら今度はNVDA+WINDOWS+Cを押します。このキー操作は、クリップボードに追加するための操作です。これで、クリップボードにNVDA+WINDOWS+Cと追加されました。 それでは、下矢印キーを押して次の行へ進みます。同じように、Nと聞こえたところで、NVDA+WINDOWS+F9キーを押します。そして、右矢印キーで進んで行って、Xと聞こえたらNVDA+WINDOWS+Cを押します。これで、クリップボードに二つの範囲のテキストが追加されたはずです。 クリップボードの中身を、メモ帳にペーストしてみます。Windows+Tでタスクバーに移動し、メモ帳を選択して起動します。そして、Ctrl+Vを押します。Ctrl+Vを押しても、何も音は出ませんが、一度上矢印キーを押すと、NVDA+WINDOWS+C、その後下矢印キーを押すとNVDA+WINDOWS+Xと読まれ、二つの範囲のテキストが、改行を挟んでペーストされたことがわかります。 これで、クリップコンテンツデザイナーの説明を終わります。 他にいくつかのアドオンを紹介します。フォーカスハイライトアドオンは、西本さんの作ったアドオンで、プロジェクタをご覧になると、メモ帳の部分が赤い太線で囲まれていることがわかります。このように、現在フォーカスされている部分を目立つようにするためのアドオンで、晴眼のWebやソフトウエア開発者が、Webページやソフトウェアのアクセシビリティをチェックする際に便利に使える機能です。他には、KCトーカーという音声エンジンのアドオンがあり、ナレッジクリエイションから販売されています。実は今実演で使っているNVDAの音声はKCトーカーです。HOYAのVoiceTextが使われていて聞きやすいです。他には、イージーテーブルナビゲーターというアドオンがあります。テーブルの上下左右移動の操作はCtrl+Alt+上下左右矢印ですが、このアドオンを使うと、テーブルにて上下左右矢印キーだけで上下左右に移動出来ます。 それでは、次に最新のNVDA Remoteアドオンを紹介します。NVDAリモートアドオンは、NVDAがインストールされていてネットワークに接続されているパソコンを、別のパソコンから遠隔操作することの出来るアドオンです。今年の春ごろ、作者の方がクラウドファンディングというネットワークを介してお金を集める方法で、1万円払うとベータ版が提供されてテストに参加出来、もっと払うとサポートしてもらえる、ということで、あっという間に100万円くらい集めて話題になりました。そして、開発後は本家コミュニティのアドオンのページで無料で提供するということで、今年の夏ごろから無料で配布されているアドオンです。 それでは、実演を交えてご紹介します。私の前にラップトップパソコンが一台、他にウィンドウズタブレットが一台あり、どちらにもNVDAとNVDAリモートがインストールされています。今日はインストールについては省略いたします。ラップトップ側からタブレットを操作します。 NVDAリモートアドオンをインストールすると、NVDAメニューに項目が出て来ます。NVDA+NでNVDAメニューを起動して、ツール、リモート、接続、の順番に選んでエンターします。すると、接続ダイアログが出ます。接続ダイアログでの設定項目は4つです。一つ目は、クライアントかサーバーかの選択をするラジオボタン、二つ目は、このコンピュータから他のコンピュータを操作するか、他のコンピュータからの操作を許可するかを選択するラジオボタン、三つめは、ホストを入力するエディット、四つ目は鍵を入力するエディットです。ラップトップ側は、クライアント、このコンピュータから他のコンピュータを操作、ホストにはnvdaremote.comを入力します。鍵は、鍵を作成ボタンを利用してランダムな数字列を作成することも出来ますが、今日は、覚えにくいので、自分で1234567と設定してしまいます。そして、OKを押します。タブレット側も、クライアント、このコンピュータの操作を許可、nvdaremote.com、1234567と設定します。そして、OKを押します。 これで、二台が接続されました。さっきの音が、接続されたことを示しているのだと思います。 用途はいろいろあると思いますが、例えば、パソコンの操作に慣れている人が慣れていない人のパソコンを直接操作して、コンテンツの紹介、メンテナンス、パソコンの操作法のレクチャーなどが可能と思います。今日は、何か紹介したいコンテンツがあるという設定で実演を進めて行きます。 F11キーを押すと、相手にキー操作を送ることが出来ます。Windows+Tでファイヤーフォックスを開きます。F6キーでアドレスなどの入力エディットへ行き、八王子市 声の広報 と入力してエンターします。八王子市は、八王子市発行の広報を朗読して録音したものをMP3ファイルとしてサイトに置いていますので、今日はこれを再生してみます。 見出しhキーで移動して、八王子市声の広報8月20日号でエンターします。また見出しhキーで移動して、ディスク1と聞こえたら下矢印で移動して、プログラムのところでエンターします。 (MP3ファイル、音楽、男性の声で「八王子市声の広報」) 八王子市の広報の音声が流れます。この音声は、操作している相手のパソコンのみで流れます。自分のところのパソコンでは、相手のファイヤーフォックスがMP3を再生する時のプログレスバーの進行を音の高さで表すビープ音のみが流れます。最後まで行くと高いラの音くらいまで、定期的にピッピッと音がします。 なお、NVDAリモートでは、相手のパソコンのNVDAの音声は自分のところで聞こえますが、相手の画面は送られて来ません。ですので、NVDAリモートを使ってパソコンを操作する人は、音声のみ、キーボードのみでの操作に慣れている必要があります。 以上で、私の発表を終わります。ご清聴ありがとうございました。 (追記1) NVDAリモートアドオンの日本語解説書は、NVDAメニューのツール、アドオンの管理を起動してNVDAリモートを選択し、このアドオンについてを選択すると読むことが出来ます。 (追記2) クリップコンテンツデザイナーアドオンを使用して、NVDA+WINDOWS+Cを繰り返すと、クリップボードにテキストが追加され続けます。一旦クリップボードを空にする操作はNVDA+WINDOWS+Xです。 (追記3) MP3ファイルを再生しようとしてもうまくいかない時は、Windowsメディアプレーヤーのインストールが必要かもしれません。